2014.4.8
待ちに待った決行の日。いよいよ出発。と思いきや!?
当初の予定では、霊山寺まで汽車で行くように決めていたのですが、祖父が心配してか急遽車で向かうことになる。祖母もついてきて、祖父母孫の3人で出発。普段は一緒に畑やら草刈やらしてるのですが、この3人でどこかに行くのは初かもしれない。なかなか賑やかな旅路になりそうだ。
道中、「ほんまに歩きに行くんか?」という話を散々しながら、霊山寺に向かう。祖父母は、車遍路経験者なので、いろいろと話も聞きつつ、今後の予定を考える。
霊山寺に到着!!
早速、必要なものを買いに行く。本も読んでリストは作成済みだ!。必要なものを選んでいたら、店員のおばちゃんに、
「そんなんいらんで、これだけにしとき!」
おばちゃんの『これ』リスト
- すげ笠
- 白衣(長袖)
- 数珠
- 納め札
- 納経帳
- 地図
- ろうそく
- 線香
- 線香入れ
- ライター
- ずた袋
と言われ、しぶしぶ元の位置に戻す。
『上下の白衣・お袈裟・足袋』と、形から入ろうしていたのですが、おばちゃん曰く、「そんなもんはいらん。邪魔になるだけやし、歩きで行くなら荷物は少しでも少ないほうがいい。」とのこと。
なるほど、そんなに堅苦しくなくていいようだ。学校のようにテストで百点をとるわけではない。しかも、初めてなのだからもっと気楽にいけばいい。本を読んでいて、そのことは知っていたものの、「やっぱり公式装備でいこかな。」とか思っていたが、おばちゃんの言う通りに行くことにした。まだまだ固定概念に縛られているのかもしれない。無意識に人目を気にしてしまうのは直さないとな。
人に言われると素直に従うのは「自分のなさ」でもあるが、どうだろう。まあ、なんでもいいさ。必要なものを買い、これでお遍路さんの仲間入りだなと実感が沸いてきて、ワクワクドキドキしてきた。
初っ端から先行きが不安に!
満を持して霊山寺に入り、『お参りの手順(お遍路のススメ)』を見ながら参っていたのですが、ここで早速困ったことが。
「人前でお経を読むの無理じゃね!?」
人見知りの恥ずかしがりやには、いきなり大きな関門だった。なんてこった。こんなところで躓くとは。お経なんて初めて読むし(練習なんてしてない)横には祖母がおるし、後ろには祖父が待機。周りにも人がいる。完全に四面楚歌。
「ええーい、下手でもともと。読むしかない!」
読んでる最中に、祖母から、「もっと声出し!」とか言われつつ、なんとか読み終わって一安心。次は何をするんだろうかと、手順を見てみると。ぐふっ!!
「大師堂でも同じことをする…だと…。」
安心したのも束の間、これはやばいな。ひきこもりの僕にはいきなりハードルが高い。この時点でもう心が折れかけ寸前。それを見ていた祖母が「ほんまに歩いていくんけ」的な目をこちらに向ける。安っぽいプライドで、なんとか心を持ち直して、ミッションコンプリート。
霊山寺を出て「ほな行ってくるわ。」と祖父母と別れ歩き始めた。
さっそく地図を見ながらどっちに行くか確認していると、隣にいた知らないの人が、「この道まっすぐ行ったら次のところに行けるで。」と教えてくれる。なんてこった。めっちゃ親切やん。
「ありがとうございます。」と行ってそちらに向かう。
2番札所極楽寺
特に何もなく到着。こんなあっさり2つ目かと、いささか拍子抜け。まあ、1kmちょっとやしこんなものかなと思いながら、なんとかお経も読む。まだ、もごもご言ってるように聞こえると思う。参拝が終わり納経所で納経帳に御朱印してもらう。
「なんか、スタンプラリーみたいな感じだな。」
と思いつつ、次のお寺へ向かう。
道順が書いてあるものを発見!
「おっと、こっちか。」なんか急に遍路な雰囲気してきた!さっきまで普通の道路だったしね。心なしか足取りが軽くなった気がする。探検気分でどんどん歩いていく。
3番札所金泉寺
3番札所に到着。納経を済まして次へ。どんどん行こう。
道中がなかなかいい感じ。これが遍路道かとワクワクしながら進む。要所要所で立札や道標があるので迷子になることはなさそうだ。
途中橋の歩く部分が水たまりになっていて、橋の手すりを歩く。写真撮っといたらよかったのにと思っても後の祭り。そのときは、「一休さんの『この橋わたるべからず。』の話かよ。」と思いながら、進んでいたのでそんなことに気が付かなかった。内心めっちゃテンションがあがっていたようで、あとから来た人に、「あそこ橋やばなかったですか。」みたいな話をしてしまった。ちょっと変な人に思われたかもしれない。
4番札所大日寺
桜がめっちゃきれい。この季節に回って正解だったようだ。
そろそろ小腹がすいてきたけれど、「お寺ってご飯食べてもいいんだろうか。」と思い、お寺ではなく、ちょっと歩いたところの休憩小屋みたいなところで一休み。
お腹も満たされ、歩き始める。
5番札所地蔵寺~7番札所十楽寺
この辺から写真をほとんど撮ってない。浮ついた気分で回っていいものかなとちょっと思い始めた。そんなこと考えずに「撮っとけばよかったな。」と、後悔する。
ただひたすらに「次のお寺に行かねば。」と歩いていたが、足に異変が…。
「これ絶対豆できてる。」
日ごろから運動せずに引きこもってばかりなので、足の裏が耐え切れなかったもよう。昔柔道で鍛えたはずなのに、さすがに7年もしてないとダメみたい。真っ新な足に戻っていたようだ。背中の荷物は約10kg。「これは仕方ない。」と思いつつ進む。
この辺から歩くのがつらくなってきた。休憩する回数も増え時間がかかる。
なんとか6番札所安楽寺に到着。そこでちょっと休憩して、出発。
7番札所十楽寺で納経して今日の宿へ。
そこから、宿までが結構距離がある。日も陰ってきた。ちょっと焦ってくる。
宿には、だいたい17時には到着しておかなければならないらしい。余裕があれば15時ぐらいに宿に着き、お風呂も入って一息つき、それから夕食。そして、20時ごろには就寝。なので、ちょっと時間がシビアな感じだ。
そしてちょっと道に迷う。どうしようと思ったが、そこで頼りになるgoogle マップ。現在地がわかるのがうれしい。文明の利器に感謝。まあ、電話をすれば、宿の人が迎えに来てくれるらしいんだけどね。初日から車に頼るのもどうかと思い、何とか宿まで歩き切った。
今日の宿【越久田屋(おくだや)】
お遍路初めての宿。
ちょっと緊張しながら宿に入ったが、主人がめっちゃ親切だった。「この宿にしてよかったー。」と心の底から思う。近くの温泉(御所の郷)まで車で送迎してくれるようで、さっそくお願いした。「あー旅の疲れが癒される。」なんでこう、動いた後の温泉は最高なのだろうか。
温泉から出たあと、ついでに夜ご飯及び明日の朝昼ごはんを買いにマルナカまで送迎してもらう。「車使わないんじゃなかったの!?」という声が聞こえてきそうだが気にしない。初めはそんなことも思っていたが、そこはもういいかなと。お遍路と関係のない道はオッケーということで、臨機応変にいくことにした。今から。
用事を済ませて、宿に戻ってきた。宿の談話室で今後のプランを練る。
宿に泊まりつつ行くのか、野宿をするのか。野宿をするにしてもいったいどこで寝たらいいのか。道具は着る毛布と非常用寝袋(銀のごみ袋みたいなやつ)ぐらいしか持ってないが大丈夫なのだろうか。
悩んでいると、宿の主人が「こんなんあるよ。」と安い宿とか野宿しやすい場所のリストが書かれた紙をくれた。
「あなたは神か。」
どうやら、今までお参りしてきたお寺の納経所でもらえるみたい。スピード重視で回って来たのがよくなかったのかな。いろいろと話を聞きながら行くのがよさそうだ。どこぞのRPGのように、出てきた人には話しかけたほうがいいみたいだが、人見知りにはハードルが高い。
まあでも、わからないと思ったことはとりあえず聞いてみるといいってことだね。
とりあえず、明日は鴨の湯の善根宿に泊まる予定で行くことに決定。どうやら小屋みたいなところのようだ。どれぐらい非常用寝袋が使えるのか試してみることにしよう。
札所は8番~11番までだ。
それではまた。
◆【歩き遍路2日目】人は見かけによらない。(8番熊谷寺~11番藤井寺)
◆歩き遍路 旅の記録。へもどる。
2018.6.15 追記。
平成29年8月21日に宿主の越久田賢一さんが亡くなられたようです。
あんなに元気だったのに、人とはあっけないものです。宿に泊まった時に、「回ってきたらまたよります。」と言って旅立ったけれど、回った後に、寄らずに帰ってきてしまったのが悔やまれます。こんなことならと思ったところで、あの時にはもどれません。お遍路は一期一会の繰り返しだと聞きますが、まさにその通りだと思います。
「後悔しないように、その時その時を生きて行かなければ。」と改めて考えさせられました。
越久田賢一さんに、心から感謝申し上げるとともに、ご冥福をお祈り申し上げます。
追記:癒しの遍路宿 越久田屋(おくだや)再オープン
越久田屋は、3番札所奥の院「愛染院」の住職ご夫妻が先代の遺志を引き継ぎ、2018年に再オープンしたようです。
お遍路さんが一番最初に訪れる宿として最高なので非常にオススメです。
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