小学生が九九の次につまずくところが割り算です。
この割り算という考え方を理解できなければ、それ以降に出てくる数学や物理を含めた計算問題は確実に理解できないでしょう。
また、割合の考え方も理解できないため、表やグラフから情報を読み取ることも難しくなります。
ここでは、割り算が一体なんなのかというところから解説していきます。
わり算ってなんなの?
例えば、「6÷3=2 が割り算です。」というのは確かにそうなのですが、それではわかりません。
そもそも、ここに出てきた2という答えが何なのかさえ理解しないままでは、計算をする意味がありません。
2つの数字を比べること
割り算とは、2つの数字を比べることです。ただそれだけです。
よく、「いくつあるのか」「いくつに分けられるのか」といったようなことを耳にしますが、それは結果的にそういう考え方ができるだけであって、そんなに難しく考えなくてもいいんです。
「どれぐらい大きいか」は、「何倍なのか」に置き換える
6÷3 という計算を例に解説していきます。
6÷3 という式は、こんな意味です。
「6」という数字は、「3」という数字を基準にして考えた場合、どれぐらい大きいのか?
ここでわかりにくいのは、「どれぐらい大きいのか」という部分です。
どれぐらいと聞かれると、2つのパターンが考えられます。
- 「6」は「3」よりも「3」大きい
- 「6」は「3」の2倍大きい
『「6」は「3」よりも「3」大きい』の方は、「差」です。つまり、引き算の考え方ですね。
『「6」は「3」の2倍大きい』の方は、「商」です。つまり、わり算ではこちらの考え方をする必要があります。これが大事です。
「どれぐらい大きいのか」は、「何倍になっているのか」
基準にした数から見て、何倍になっているのかを考えるのが「割り算」というわけです。
「比べる」=「何倍か考える」です。
「倍(ばい)」ってなに?
『「6」は「3」よりも「3」大きい』の方は「差」で、引き算の考え方と言いました。わり算では、この「引き算」の考え方が非常に大事になってきます。
なぜなら、引き算なくして「倍」という言葉を理解できないからです。
「引き算」があるから、何「倍」かがわかる
「倍」は「わり算」ではじめて出てくる
もう忘れてしまったかもしれませんが、「倍」という言葉は、わり算で初めて出てきます。そのため、多くの生徒が戸惑いがちです。
「九九でやってる」と思うかもしれませんが、「倍」というのはやってません。
- 3人に4個ずつ配るといくつ?
- 縦3cm、横5cmの長方形の面積は?
「倍」というのは、何かと比べるときにはじめて出てくる考え方なので、普通の掛け算の計算で使用することはありません。いきなり出てくるのに説明がされないため、難しいのです。
簡単に言ってしまえば、「倍」とは「掛け算」のことですが少々違います。
「掛け算」を復習しておこう
2倍(にばい)、3倍(さんばい)というふうな「倍」が一番よく聞くと思います。
この2倍は「×2」。3倍は「×3」。という書き方をしましたよね?それは問題ないでしょう。
では、『「×」ってそもそもなんだったっけ?』というのを考えていきます。
5+5+5+5+5+5+5+5+5+5+5+5=?
という式を考えます。こんだけ足すのって面倒じゃないですか。そこで、掛け算を使いました。
縦が5個、横が10個と考えてもいいし、5が10個あると考えてもいいです。
5×10=50 ですよね。
「倍」というのは、「元の数」がいくつあるのか
「5×10=50」の式には「×10」というのが新たに出てきたと思います。これが大事です。今回は「10倍」ですね。「(元の数)×10」です。
つまり、「倍」というのは、元の数が「いくつ分あるのか」を考えることです。
※「元の数」は「かけられる数」と言うこともあります。
問題を解こう
九九を知らない場合の解き方
「6」の中に「3」は、いくつありますか?(6÷3=?)
この問題を解くためにどうすればいいのかと言うと、「6-3(6引く3)」をします。すると「6-3=3」になります。「6」の中には「3」が1つあり、「3」が余りました。
ここで、さらに問題が出てきました。
「3」の中に「3」は、いくつありますか?(3÷3=?)
「3-3=0」となり、数字が「0」になってしまったので、「3」の中には「3」が1つあったのがわかります。
つまり、「6」から「3」が2つ取れるため、答えが「2」というのがわかりました。
九九を知っている場合の解き方
九九を知っていると、数字の中にいくつ数字が入っているのかが考えやすくなります。
「6」の中に「3」は、いくつありますか?(6÷3=?)
「3」が2つあると、「6」になるのを「3×2=6(さんにがろく)」で知っています。
したがって、「6-6=0」(「6-3×2=0」)になり、「6」の中には「3」が2つあったので、答えが「2」というのがわかりました。
この考え方は筆算と同じ考え方です。
この考え方を知っていれば、難しい問題が出てきても解けます。
「426」の中に「6」は、いくつありますか?(426÷6=?)
「6」が70個あると、「420」になるのを「6×70」で知っています。
したがって、「426-420=6」になり、「426」の中には「6」が70個あるのがわかりました。
まだ「6」残っているので、「6-6=0」で、「6」の中には「6」が1個あるのがわかります。
つまり、「426」の中には「6」が「71」個入っていることがわかりました。
こう考えると、筆算でどうして始めの2桁から計算していく必要があるのかもわかりますよね。
あとがき
「いくつあるか」というのは、わり算を習うときに通過しなければならない考え方なのですが、それだけを考えていると後で詰まってしまいます。
「6÷3=2」は、たしかに「6」の中に「3」が2個入っています。しかし、重要なのは、「6」という数字が、「3」から見ると2倍になっているということです。
「6÷3=2」というのは、「6=3×2」ということ。
「6」つまり「比べられる数(基準から見てどれぐらいか知りたい数)」は、「3」つまり「元にする数(基準になる数)」の何倍になっているのかまで考えるようにしなければ、この次に習う割合で苦戦してしまいます。
少々めんどくさくはありますが、問題を同じ考え方で解けるようにしておき、その後何倍になっているのかまで考えるようにしておきましょう。
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