どうも、ねんごたれです。
以前アニメでちらっと見ただけでしたが、Amazon prime会員特典で全部見られるようになっていたので、これ幸いと視聴しました。予想以上に面白く、いろいろと考えさせられたので書いておきます。
「サカサマのパテマ」のあらすじ。(ネタバレあり)
簡単にまとめると、自分にかかる重力がサカサマになっているパテマが、普通の重力の世界へ出てくるお話です。
重力がサカサマなので、空に向かって落ちていくパテマ。その奇妙な光景を目にした男の子との出会いから、世界の謎に迫っていきます。
以下、ネタバレです。
重力がサカサマになってしまった原因は、昔の科学者たちが「重力からエネルギーを作り出す」実験に失敗し、その影響下にあるすべてのものの重力が反転してしまったためです。
科学者たちは、生き残った影響を受けた人間たちが生きていけるよう、地下に世界を創造します。はじめのうちは一緒に住んでいましたが、いつのまにか被害者と影響を受けなかった人々で、別々に暮らすようになっていきました。
物語の最後で明かされるのは、実はサカサマだったのは男の子のほうで、パテマは実験の影響を受けなかったほうの子孫だったということ。「空」だと思っていた場所は地下であり、人口太陽や空気を作る機械などが地中深くに作られていたことが想像できます。
「サカサマのパテマ」の感想。
高所恐怖症の人は、終始、足に力が入らなくなるのではないでしょうか。ぼくも高いところが苦手なので、地面がないところを通るたびに、へその辺りがヒュンヒュンなってました。地面がないの、怖すぎです。あと、登場人物の腕力がやばい。ぼくには無理だ。
「人は土から離れては生きられないのよ。」(天空の城ラピュタ)——そんなことを考えながら見ていました。
空に落ちていったとき、「空にも街があるやん。落ちていった人が住んでる世界があるんや。」と思っていたら、誰もいない。それもそのはず、街ではなく地下世界の維持装置なのですから。それに気がつかず「なんで人でてこんのやろ。」と思っていたぼくは、察しが悪すぎます。
最後は緑豊かになった元の世界。「うわー、きれいだなー。」そして、鳥が飛んでいく。ここで気がつきます。「あれ、鳥ってこれまで一度も出てきてなかったよな?」
鳥は地下には行かなかったみたいです。飛べるし、重力の影響もあまり関係ないし、むしろ軽く飛べるようになったのではないでしょうか。
黒が白に。白が黒に。

↑この世界の簡単な図。
この物語で、実験の影響を受けた人々は大半が空へと落ちてしまいます。事故をまぬがれた被害者たちは、もとの世界では生きられない体になってしまいました。被害を受けなかった科学者に責任を取らせて地下に世界を創造してもらい、自分たちで持続可能な世界に住むことになります。
科学者はもう用済みとばかりに、被害者たちは恩を忘れて科学者たちを別の世界へと押し込めました。科学者は空(地下)で見守り続ける任務につきます。自業自得という面もあるので、科学者たちはそれを甘んじて受けた。
…というのが10年前のぼくの読み取りでしたが、今考えると一つ見落としがあったと思います。
科学者への恨みは、消えなかったのではないか。
謝罪があっても、誠実に地下世界の維持に当たっても、それで感情がリセットされるわけではありません。実験の被害者たちが、加害者である科学者への憎しみをどこかに抱え続けた——それが世代を超えて「空(=科学者のいる場所)は忌み嫌うべきもの」という歪んだ伝承として根付いていったとすれば、むしろ自然な流れです。
「自業自得だから甘んじて受けた、それで終わり」ではなく、被害者側の恨みが消えなかったからこそ、子孫たちが伝承を歪んだ形で引き継ぎ、深刻な迫害につながっていったのではないでしょうか。
子孫たちが伝承を間違って解釈し始めたため、被害を受けなかった人々を迫害しはじめます。つまり「自分たちが元の世界に住んでいて、被害を受けなかった人々が『空に喰われる罪人たち』」という解釈です。
地下世界は維持装置がなければ生きていけないのに、それを維持する人々を排除しようとする。普通に考えればおかしいことに気がつきますが、情報を正しく把握していない人に権力を持たせると、ろくなことがありません。
被害を受けなかった人全員を罪人とするのもやりすぎです。どうして0か100かでしか考えられないのでしょうか。そして権力者は情報を制限し、子供たちは完全に管理された生活をおくる。そうやって育てられた子が大人になればしめたもの。疑問を持つ人は排除しやすくなり、やがて誰も疑問に思わなくなります。
まるでジョージ・オーウェルの『1984年』のようです。竹宮惠子の『地球(テラ)へ』にも近いものを感じます。正しい情報を得られなければ、間違いを正そうとする人も出てこない。
つまり、黒が白に。白が黒に。なるわけです。そう、サカサマです。この辺り、考えられて作られているんだろうな、と思います。
「サカサマのパテマ」は2回見るべし。
はじめの題名がでた部分は、最後に破壊した場所。
最後に出てくる頃には忘れてしまいますが、見返すと気づきます。
どうしてあれだけ、空を忌避しているのか。
偽物の空と星。作ったのは、忌々しい科学者たち。事実は伝わっていなくても、忌々しいという感情はかわらない。
正しく伝わっていれば自分たちの世界を維持しているものとして、信仰の対象になってもおかしくないのですが、そういう人たちは全員排除したのでしょう。
そして空に落ちていく恐怖心が根底にあるからか、飛行機などの飛ぶものの制作者も排除。鳥や虫もいないのは、もしかしたらすべて駆除されたのかもしれません。
アイガ国(愛我国)か。
ここ以外では住むことができないからこその依存です。
その周辺が荒廃しているのは、壁に近寄らせないようにしているからか。
すごく狭い国で、壁は3Dマッピングになっており、ないように見えているだけかもしれません。
なんにせよ、2回目はまた違う印象になります。ただ、最後の文字化けした紙はいったいなんだったんだろうか。

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